IINA算数教室

算数コラム

秘伝の書 No.002

算数の文章題が苦手な子に、まず確認してほしいこと

「文章題が苦手=国語力がない」とは限らない

算数の相談でよく聞くのが、「計算はできるのですが、文章題が苦手なんです。」という言葉です。

そして、その原因として、「国語力がないからでしょうか?」と考える方も少なくありません。

もちろん、問題文を読む力は大切です。

でも、文章題が解けない原因をすべて「国語力」でまとめてしまうと、本当につまずいている場所が見えなくなることがあります。

文章題を解くためには、次のようないくつもの段階があります。

  1. 文章を読む
  2. 必要な情報を見つける
  3. 数量の関係を考える
  4. 図や式に置き換える
  5. 計算する
  6. 何を求めるかを再確認する

大切なのは、「文章題ができない」ではなく、「この子は、どの段階で止まっているのか」を見ることです。

①「何を聞かれているか」を言えるか

まず確認してほしいのは、問題を読んだあとに、「この問題では何を求めるの?」と聞いたとき、自分の言葉で答えられるかどうかです。

文章の中に数字がいくつも出てくると、子どもは数字だけを拾ってしまうことがあります。

「足すのかな?」

「割るのかな?」

そして、すぐに計算を始めてしまう。でも、その前に、「何を求めるのか」を確認する必要があります。

文章題では、計算より前の段階ですでに勝負が始まっています。

② 数字ではなく「関係」を見ているか

たとえば文章の中に、3個、120円、4人と数字が出てきたとしても、数字だけを見て式を決めることはできません。

大切なのは、「何と何が、どんな関係になっているのか」です。

何倍なのか。

和や差はいくつなのか。

1つ分はいくつなのか。

全体と部分はどういう関係なのか。

文章題が得意な子は、数字そのものだけではなく、「数字同士の関係」を見ています。

③ 図に置き換えられるか

文章だけでは見えにくい関係も、図にすると急にわかりやすくなることがあります。

線分図。

表。

面積図。

きれいな図を描く必要はありません。大切なのは、「頭の中にある関係を、外に出すこと」です。

ところが、「図を描きなさい」と言われても、そもそも何を図にすればいいのかわからない子もいます。

その背景には、「それぞれの図が何を表しているのかを十分に理解できていない」ことがあります。

また、学習の中で、「このタイプの問題では、この図を使う」という形だけを覚えてしまっている場合もあります。

大切なのは、問題の種類と図をセットで暗記することではありません。

「この数量関係を表すには、どんな図がわかりやすいだろう?」と考えられることです。

④ 式の意味を説明できるか

正しい式を書けたとしても、「なぜこの式になるの?」と聞くと、説明できないことがあります。

これも先ほどの図と同じで、「解き方をパターンとして覚えているだけ」というケースがあります。

暗記だけでは、問題の形が少し変わっただけで手が止まることがあります。

式は、答えを出すためだけのものではありません。式は、「自分がどう考えたか」を表すものでもあります。

「この3は何?」

「この120は何?」

「なぜここで割るの?」

と確認すると、本当に数量の関係を理解しているかが見えてきます。

⑤ 最初の一手が出るか

文章題では、「問題文の意味はわかっている」「解説を見れば納得する」のに、「自分では最初の一手が出ない」ということがあります。

これは秘伝の書 No.001で取り上げた、「解説を読めばわかるのに、自分では解けない」という状態にもつながります。

何を求めるのかはわかる。数字の意味もわかる。でも、「さて、何から始めればいい?」となる。

この場合は、パターン練習を増やすだけでは解決しないことがあります。

問題を見たときに、何に注目したのか。どんな図を描こうとしたのか。どの条件を使おうとしたのか。そこまで見る必要があります。

文章題は「言葉を数式に翻訳する問題」です

本来、算数の文章題は、次の順番で考えていきます。

  1. 問題の状況を理解する
  2. 数量の関係を整理する
  3. 図や数式に置き換える

つまり、「覚えたパターンを当てはめるゲーム」ではありません。

文章の中にある状況を整理し、数量の関係を見つけ、それを算数の言葉である図や式に翻訳していく。それが文章題です。

だからIINA算数教室では、正しい式を書けたかだけではなく、その式にたどり着くまでに、何を見たか。何を考えたか。どんな図を描いたか。という過程を大切にしています。

家庭で確認するなら「何算?」と聞きすぎない

文章題で手が止まったとき、「これは何算?」と聞きたくなることがあります。

ここでいう「何算?」とは、「鶴亀算なのか」「旅人算なのか」「仕事算なのか」といった、特殊算の分類を先に考えることです。

もちろん、こうした名称や解法を知ること自体が悪いわけではありません。

しかし、「これは鶴亀算だから、この解き方」「これは旅人算だから、この図」という学習を繰り返しすぎると、「問題の状況や数量関係を考える」のではなく、「問題を種類分けして、覚えた解法を当てはめる」というパターン別の暗記学習になりがちです。

本来大切なのは、「これは何算か」を当てることではありません。

「何がわかっている?」

「何を求めたい?」

「この数字は何を表している?」

「図にするとどうなる?」

「まず何がわかれば先に進めそう?」

と聞いてみてください。

答えを教えるのではなく、「考える場所を一緒に探す。」文章題では、このやり取りがとても大切です。

「文章題が苦手」の中身を見てみる

文章題が苦手だからといって、とにかく文章題を何十問も解けばいいとは限りません。

まずは、次のどこで止まっているのかを確認します。

  • 問題文の理解
  • 求めるものの確認
  • 数量関係の整理
  • 図への置き換え
  • 解法の選択
  • 式の意味
  • 計算

原因が違えば、必要な練習も変わります。

「できなかった」という結果だけでなく、「どこまでできたのか」を見ることが、次の一歩につながります。

小学5年生の算数の現在地を確認したい方へ

「文章題になると手が止まる」

「問題のタイプは習っているのに、自分で考えると進めない」

「図を描くことができない」

「解説を見ればわかるのに、自力では進めない」

こうした状態は、答案を見ることで原因が見えてくることがあります。

IINA算数診断では、小学5年生の答案を正誤だけではなく、次の内容などから分析します。

  • 途中式
  • 解法の選び方
  • 考え方の特徴

現在できていることと、これから優先して取り組みたい課題を整理します。