IINA算数教室

算数コラム

秘伝の書 No.007

分数の割り算はなぜ逆数をかけるのか

「逆数をかける」は答えではなく計算方法

分数の割り算では、「割る数を逆数にしてかける」と習います。

計算はそれで進められます。しかし、なぜ逆数をかけてよいのかを考えないままでは、分数の向きや掛ける場所を取り違えたときに、自分で確かめることができません。

まず見たいのは逆数ではなく、割られる量と割る量を同じ単位で表すことです。

5÷0.2は「0.1が何個あるか」で考えられる

5÷0.2は、5の中に0.2が何個あるかを求める計算です。

5と0.2をどちらも0.1を単位にして表すと、5は0.1が50個、0.2は0.1が2個です。

5 = 0.1が50個

0.2 = 0.1が2個

50÷2 = 25

同じ0.1という単位にそろえたので、あとはその個数同士を割ればよいわけです。小数点を動かす手順の奥には、単位をそろえるという考えがあります。

分数も通分すれば同じ単位になる

2/3÷3/4も同じように考えます。分母が3と4のままでは、数えている単位が違います。そこで通分し、どちらも1/12を単位にします。

2/3÷3/4 = 8/12÷9/12 = 8/9

8/12は1/12が8個、9/12は1/12が9個です。同じ1/12という単位の個数同士を割るので、8÷9、つまり8/9になります。

ここでは、最初から逆数を持ち出していません。通分して同じ単位にそろえると、答えが8/9になることを分数の意味から確認できます。

通分すると、なぜ逆数が現れるのか

一般に、a/b÷c/dを考えます。二つの分数を同じ分母bdにそろえると、a/bはad/bd、c/dはbc/bdです。

a/b÷c/d

= ad/bd÷bc/bd

= ad÷bc

= ad/bc

= a/b×d/c

最後に現れたd/cは、c/dの逆数です。

つまり「逆数をかける」という規則は、突然決められたものではありません。通分して同じ単位の個数を比べた結果を、短く計算できる形にまとめたものです。

計算規則と意味を行き来する

毎回通分してから分数の割り算を計算する必要はありません。逆数をかける方法は、速く正確に計算するための大切な道具です。

ただし、規則を忘れたときや答えに違和感があるときに、同じ単位へ戻って考えられることが重要です。

  • この割り算は、何の中に何がいくつあるか
  • 二つの量は同じ単位で見られているか
  • 答えは元の量との関係から不自然ではないか

手順だけでなく意味を持っていれば、計算方法を自分で確かめられます。

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